「アポイントがなかなか取れない」「営業トークが苦手で断られてしまう」「営業の成約率が低いため、上司に詰められる」といった悩みを抱えていませんか?
営業トークのコツを上司に聞いても、「感覚で覚えろ」などと言われるだけで困っている人もいるでしょう。
そのため、「才能がある人だけがトップ営業マンになることが出来るんだ…」と思ってしまっているかも知れません。
しかし、突出した営業成績を上げるトップ営業マンには、営業の成約率を高めるために行っている一定の型があるため、勉強さえすれば誰でも身につけられるスキルです。
そのトップ営業マンは、どんなコツを使って成約につなげているのでしょうか。
この記事では、営業マンが抱える課題・悩みや営業の成約率の高めるためのコツを7つ紹介していきます。
営業トークのコツを理解すれば、意識的に営業トークをコントロールし、顧客の信頼関係を得ることができるようになり、結果として、営業の成約率を大幅に高めることができるでしょう。
段階別に紹介しますので、営業成績が思うように伸びず悩んでいる方は参考にしてください。
目次
営業マンが抱える課題・悩みとは
まずは、営業マンが抱える「よくある課題・悩み」を3つご紹介します。
- なかなかアポイントが取れない
- 顧客の抱える課題をうまく引き出せない
- 顧客の心に響く営業トークが出来ていない
1つずつ見ていきましょう。
なかなかアポイントが取れない
営業で成績を上げるためには、まず商談の機会を作る必要があります。
自社の商品やサービスを「購入したい」「契約したい」と思ってもらえるように魅力的に提案するプロセスが必要となります。
しかし、アポイントがなかなか取ることが出来ない場合、提案のきっかけすらもらえず、スタートラインに立つことが出来ません。
現場での営業は得意だけれど、アポイントを取るのは苦手…そんな方も多いと思います。
企業によっては、アポインターと営業マンを分けているケースもありますが、アポイントの獲得から営業、契約後の事務処理まで1人で行うこともあります。
アポイントは、短い時間でいかに相手のニーズを引き出し、自社の商品・サービスに興味を持たせるかを考えなければなりません。
しかし、相手の顔が見えず、かつ関係性の構築できていない中で、アポイントにつなげることは難しく、アポイント獲得に悩む営業マンは多いようです。
顧客の抱える課題をうまく引き出せない
アポイント獲得の段階はもちろんですが、現場に赴き、営業を通して顧客のニーズを引き出すことができないと悩む営業マンも多いです。
顧客の抱える課題は何なのかをうまく引き出すことが出来ず、商品・サービスの紹介だけ終わってしまい成約につながらないという声をよく聞きます。
顧客からしたら、営業マンに対して警戒するのは当たり前なのです。
BtoC営業であれば、自分自身のパーソナルな情報を開示すること、BtoB営業であれば、自社の課題等の情報を開示することは、そう簡単にはしてくれません。
顧客からの信頼関係を得て、抱える課題のヒアリングする力を身に着けることは、営業の成約率に大きな影響を及ぼします。
顧客の心に響く営業トークが出来ていない
「商品・サービスの魅力を理解してもらえない」
「競合他社との差別化ができない」
こうした悩みを抱える営業マンも多いと思います。
なかには、商品・サービスに興味を持ってもらうことはできても、最後断られることを恐れてしまい、クロージングが出来ない…なんてこともあるかと思います。
顧客の「契約しようと思っていますが、検討する時間を少しください」を信じて、契約が取れず落ち込んだことが誰しも一度はあるはずです。
営業のなかで、顧客のニーズを引き出し、商品・サービスを適切にかつ魅力的に伝えることで、結果として顧客の熱量が高まって成約となります。
この顧客の熱量を高めるための営業トークが作り込めていないと、成約率はいつまでたっても低いままとなってしまいます。
営業活動の基本的な流れ
営業活動をするうえで、営業先に入ってすぐに商品やサービスの説明をするのでは、成約率は低くなってしまいます。
営業では、段階を踏んでクロージングまで持っていく必要があります。
- 事前準備
- アイスブレイク
- ヒアリング
- 提案
- クロージング
まずは、アイスブレイクを行い、ヒアリングをしながら顧客との信頼関係を築きます。
顧客との信頼関係を築くなかで、どんな問題・課題を抱えているのかを聞き出し、その解決策として自社の商品・サービスを提案していき、最後にクロージングを行うことが営業活動の基本の流れとなります。
ただし、この流れに沿って営業活動を行うだけでは、成約率は高めるまでには至りません。
相手の話をしっかりと聞くこと、提案に入るタイミングを間違えない間違えないなど気をつける点は多くあります。
次から具体的に、営業の成約率を高めるためのコツを紹介していきます。
成約率を高める営業活動のコツ5選
営業マンは“契約を取ってくる”ことで評価されます。
契約が取れないと、いくら努力をしていても認められない点は、営業マンの辛いところですね。
一方で、契約を取り、数字さえ出せば年齢関係なく評価される点は、営業マンの良いところといえるでしょう。
そのためにも、営業の成約率を高めるためトップ営業マンが実践しているコツを理解しましょう。
- 事前準備を念入りに行う
- アイスブレイクを徹底する
- 顧客の本当のニーズ、担当者心理を理解する
- BANT条件を押さえる
- テストクロージングを行う
それでは、1つずつ解説していきます。
事前準備を念入りに行う
日々の業務が忙しく、営業に行くときの事前準備が十分にできていないと悩む営業マンは多いかと思います。
しかし、営業は事前準備で結果が決まる、と言っても過言ではありません。
自社の商品・サービス知識を付けることはもちろん、顧客の企業情報をはじめ、担当者の情報や抱える課題をおさえ、当日の会話のストーリーを事前に練り上げることが必要です。
営業マンの仕事は、自社の商品・サービスで顧客の課題を解決することです。
そのため、顧客の抱える課題に対する解決策の提案を予め2つ、3つ用意しておきましょう。
アポイントを取って訪問営業やZoom等を用いた営業を行うのであれば、アポイントの段階で顧客の抱える課題を聞き出しているはずです。
聞き出した課題に対してどのように提案をしていくのか、相手からの返答次第でいくつも提案を変えられるようパターもいくつか用意しておくことで営業の成約率も大幅に高くなるでしょう。
飛び込み営業の場合でも、会社情報や業界の動向などを抑えておくことで、どのような課題を抱えているのか、どんな提案であれば相手に響くのか、ある程度想像がつくはずです。
アイスブレイクを徹底する
「商談のアポイントを無事に取ることができた。事前準備もバッチリ!さぁ提案だ!」と意気込みすぎて、営業先に入るや否やヒアリングや提案を行っていませんか?
営業の基本として、まずは雑談などをはじめとしたアイスブレイクを行いましょう。
【アイスブレイク】
アイスブレイクとは、初対面の人同士が出会う時、その緊張をときほぐすための手法を指します。
営業マンにとって、アイスブレイクは当たり前のことですので、既に実践している方も多いと思いますが、このアイスブレイクの段階で顧客の心を鷲掴みに出来ている人はそう多くはいません。
天気の話やニュースの話題など、どの営業マンもアイスブレイクで持ち出す話題のため、相手も「いつものやりとりか…」と思っていることでしょう。
企業ホームぺージを見たとはいえ、新着情報1つ1つに目を通したり、採用情報の先輩社員の声やブログの内容について把握されている方はどれだけいるでしょうか。
担当者の名前が予め分かっていれば、その人が出ているページを抑えることは必須です。また、営業先に入る際は、エントランスから会議室までの通路で話題に出来るものが無いか常に目を光らせましょう。
BtoCの営業マンに比べ、BtoBの営業マンはアイスブレイクを軽視しがちです。
企業担当者の場合、営業には慣れており、むしろ企業担当者から問い合わせをしていることも多いため、わざわざ信頼関係構築に力を入れなくても商品・サービスの魅力や金額のみで契約が取れてしまうことにも原因があります。
企業担当者も人間です。複数社から見積もりを取り、どの会社にお願いするかを決める際には、商品・サービス内容や価格といった事実だけでなく、担当者の評価も介在することが往々にしてあります。
「料金は安いけれど、営業マンが無愛想でレスポンスも遅い…」となった場合、そもそも社内決裁に回してもらうことすらないかもしれません。
また、商品・サービスの内容や価格が横並びの際は、決裁者から「●●君(担当)が決めて良いよ」と言われ、担当者にとって良い印象の営業マンが選ばれます。
アイスブレイクを徹底することは、営業の成約率を高めるコツのなかでも重要度が高いため、今一度自身の対応について振り返りましょう。
顧客の本当のニーズ、担当者心理を理解する
顧客の抱える課題、ニーズを把握することは、自社の商材・サービスを提案するにあたり、とても重要になります。
ただし、顧客自身も正確に自社の抱える課題を把握・分析できていない可能性もあります。
営業マンには、そうした顧客の本当のニーズをアイスブレイクを通しながら聞き出す能力が求められます。
優秀な営業マンほど、”聞く力”が優れているとされています。適切に顧客から課題等を聞くことができれば、顧客に対する理解だけでなく信頼関係を築くことにもなります。
また、顧客の心理を理解するよう努めましょう。特に企業担当者にとって、優れた商品・サービスの購入は必ずしも報われるものではありません。
サービスの導入にあたって、企業担当者は上司等の指示により複数社へ問い合わせを行い、情報収集を行っています。
サービスを導入して使い勝手が悪かったり、不具合が多いと担当者は上司に怒られますが、優れたサービスを導入したとしても”当たり前”として扱われ、褒められることは少ないでしょう。
そうなると、単に商品・サービスの良し悪しだけでなく、「何か困ったときに営業マンにすぐ聞けるのか」「営業マンは頼りになるのか」「担当者としての手間を省けるか」などが契約の決め手となります。
営業の成約率が低いのは、淡々と自社商品・サービスの説明しているからかもしれません。
顧客のニーズを的確に把握し、担当者心理を理解することが成約率を高めるコツの1つです。
BANT条件を押さえる
営業の成約率を高めるコツ4つ目は、BANT条件を押さえることです。
BANT条件についてご存じでしょうか。特に法人営業においては、必須情報とされる以下4つの項目の頭文字を取った言葉です。
【BANT条件】
Budget:商品の購入・サービス導入のための予算
Authority:稟議を承認する決裁者
Needs:企業としてのニーズ
Timeframe:導入時期
Budget(予算)
Budget(予算)は、皆さんもイメージしやすいと思います。
予算を把握せずに自社商品・サービスの提案をしてしまうと、一発で検討から外れてしまうかもしれません。
アイスブレイク、ヒアリングを通して、顧客がどれだけ予算を確保しているのか、理想はいくらで導入できることなのかをうまく聞き出しましょう。
Authority(決裁者)
決裁者が商談の場に出てきてくれれば良いですが、商談を行った相手が決裁者へ確認を取る場合には、提案の仕方や情報提供の方法が異なります。
営業マンから企業担当者へ伝えた話は、良くても7割程度しか決裁者へ伝わりません。
優秀な営業マンは、ただ自社商品・サービスの提案だけでなく、企業担当者が決裁者へ話を通しやすくなるよう補足資料を提供したり、決裁者から質問されるであろ内容について先回りして担当者へ伝えます。
Needs(ニーズ)
先にも記載のとおり、顧客のニーズを的確に把握することは営業の成約率を高めるうえで必要不可欠です。
表面上どの会社にも伝えている課題がありますが、その課題解決のみで満足しないようにしましょう。
信頼関係を築けていない状況では、自社の課題をペラペラと営業マンには話してくれません。根本的な課題は、アイスブレイク、ヒアリングを通して少しずつ引き出すことが必要になります。
また、顧客自身も気付いていない課題があるかもしれません。気付けてない課題解決の提案をしてくれる営業マンには、絶対的な信頼を置いてくれることでしょう。
Timeframe(導入時期)
導入時期によって提案の仕方も異なります。
導入時期が先にも関わらず、無理やり今月からの導入を進めるようであれば成約率は低くなってしまいます。
今やるべき理由と必要性を示すことができれば、予算は作っていただくことはもちろん、導入時期を早めることもできます。
ただし、第一に優先すべきは、”顧客の課題解決”ということを忘れてはいけません。
BANT情報を押さえることで、営業のしやすさも大きく変わるはずです。
テストクロージングを行う
営業の成約率を高めるコツ5つ目は、テストクロージングを行うことです。
テストクロージングとは、クロージングを行う前に相手の興味や認識を確認する作業です。
【クロージング(closing)】
営業における、クロージングとは「契約」や「契約に至るまでの過程」を指します。
「契約」と聞くと、契約書に判を押してもらう瞬間のことだけを指しているように聞こえますが、クロージングは契約に至るまでの過程を含めた行動全体のことを表していることが多いです。
ひととおり商品・サービスの説明を行い、顧客の購買意欲・温度感が分からないクロージングを行うと失敗に繋がりやすくなります。
商品・サービスの説明後、すぐに契約の話を持ち出しても、よほど提案内容が魅力的でない限り成約に至る可能性は低いでしょう。
営業マンとして成果を上げるためには、契約に向けて顧客の気持ちを誘導していくことが求められます。
その手段の1つとして、商談のなかで顧客に対して、小さな合意を積み重ねる「テストクロージング」を行うことで、提案に対する反応を確かめることができます。
契約を前提とした質問を行うことで、相手の購買意欲を確かめながら商談を進めることができるため、提案への反応があまり良くないときにも軌道修正することが出来ます。
「ここまで説明してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか?」
「導入して実際に利用される際には、●●さん(担当者)が利用されますか?」
「導入は、5月より4月のほうがタイミング的にも良いでしょうか?」
ここで、重要なポイントは「はい」「いいえ」の二択で回答できる質問を投げかけていくことです。「はい」の回答を重ねることで、その後も「はい」と回答しやすい状況を作ることができます。
これは『フット・イン・ザ・ドア(foot in the door)』という心理テクニックの1つで、相手が承諾しやすい要求から始め、「はい」を積み重ねることで最終的な要求を承諾するよう相手を誘導する話術です。
顧客の反応を確かめながら商談を進めることで、顧客のニーズを把握できているのかの確認にもなります。
否定的な反応を示した場合は、理由を聞き出して適切な解決方法を改めて提案しましょう。
営業活動における注意点~成約率を高めるために気を付けるべきこと~
ここまで、営業として成約率を高めるためのコツを紹介してきました。一方で、今回紹介したコツを理解・実践するあたり、押さえておくべき注意点が2つあります。
- 独りよがりな会話をしない
- 沈黙を恐れず、顧客に考える時間を与える
いくら営業のコツを知り、テクニックを用いたとしても、この2つが疎かな場合、成約率を高めることはできませんので、自分自身が当てはまっていないか振り返りましょう。
独りよがりな会話をしない
営業の際に一方的に話し過ぎていないでしょうか。自分は、話し過ぎと感じなくても聞いている側からすると意外と長く感じるものです。
一般的に、人の話を集中して聞いていられるのは100秒程度と言われています。
つい、商品・サービス紹介に夢中になってしまい、顧客のことを無視して独りよがりな会話をしている営業マンがいます。
自社資料を頭から順に説明することは自己満足でしかありません。
顧客が抱える課題の解決策について、適切に提案が出来ているかを振り返ってみましょう。
営業マンばかり話してないでしょうか。
1の質問に3も5も回答していないでしょうか。
料金について説明を求められているのに昨日の説明ばかりしていないでしょうか。
「うまく営業ができたはずなのに契約が取れない…」「成約率が低い原因が分からない…」という場合は、上司や同僚にお願いをして営業に同席してもらい、フィードバックをもらいましょう!
沈黙を恐れず、顧客に考える時間を与える
商品・サービスの説明を一方的に行い、最後に「何か質問はありますか?」と投げかけていませんか?
顧客から「特に質問はありません」と回答があった場合には、考える時間を奪い、顧客を置いてけぼりにしているかもしれません。
特に気を付けたいのは、料金の提示やテストクロージングを行った際、沈黙を恐れて営業マンが続けて話してしまうことです。
料金の提示は、営業マンにとっても1番怖いタイミングです。そのため、料金の提示をした後の沈黙に耐え切れなくなり、つい営業マンが続けて口を開いてしまいがちです。
営業マンが続けて話をしてしまうと、顧客が料金に対して高いと感じているのか、適正と感じているのか把握ができません。
テストクロージングも同様に、沈黙をうまく活用することで、顧客の商品・サービスへの理解を手助けし、反応を見て後出しで提案をすることもできるため、意識してみましょう。
まとめ
今回は、営業マンにとって重要指標である成約率を高めるためのコツを紹介してきました。
営業マンであれば、誰しも一度は「なかなかアポイントが取れない」「顧客の抱える課題をうまく引き出せない」「顧客の心に響く営業トークが出来ていない」と悩んだことがあるはずです。
今回紹介した5つのコツは、こうした営業マンに良くある悩みを解決し、トップ営業マンへと成長させてくれるはずです。
- 事前準備を念入りに行う
- アイスブレイクを徹底する
- 顧客の本当のニーズ、担当者心理を理解する
- BANT条件を押さえる
- テストクロージングを行う
この5つのコツを押さえることで、顧客との信頼関係を築き、商品・サービスへの理解、購買意欲を高めることができるため、結果として成約率が高まります。
- 独りよがりな会話をしない
- 沈黙を恐れず、顧客に考える時間を与える
営業における注意点も記載していますので、営業をする際に大きな失敗をしないように意識してみてください。