商談中、良い流れで進んでいたにも関わらず、クロージングに入ってうまくいかない…成約に至らない…という経験はありませんか?
その”良い流れ”、もしかすると自分の思い込みかも知れません。
トークが上手い人でも、営業となると思ったような成果が出せない人もいます。
営業活動において、もっとも大切なことは、トーク力ではなくヒアリングと言われますが、相手によって適切な聞き方が異なるため、ヒアリングコツが掴みにくいというのも事実です。
今回は、営業で圧倒的な成果を出すために必要なヒアリングのコツと、よくある悩みの解決方法をお伝えします。
目次
ヒアリングの持つ重要性とは?
営業活動の流れは、大きく分けると下記の通りとなります。
- 商談準備
- ヒアリング
- 提案
- クロージング
- 契約
商談準備では、顧客情報をなるべく多く集め、事前情報をもとに当日の提案内容をある程度想定します。
商談当日に顧客の抱える課題をヒアリングしながら、顧客の反応にあわせてクロージングを行う…といった流れで営業は進んでいきます。
つまり、営業におけるヒアリングは、その後の提案の質を高めることにつながるため、出来るだけ多くかつ有益な情報を得ることが重要となります。
ヒアリングが十分でないと、顧客の状況や課題、願望の把握ができず、検討違いな提案をしてしまい契約を落としてしまいます。
ヒアリングの出来によって、契約が取れるかどうかが決まるといっても過言ではないでしょう。それほどにヒアリングは営業マンにとって重要な要素なのです。
営業力を高めたいと考えたら、まずはヒアリング力を身に着けることに注力しましょう。
営業におけるヒアリングの流れ
あなたは、営業の際にヒアリングをどのような流れで進めているでしょうか。
挨拶をしたらすぐに顧客の抱える課題についてヒアリングをする方もいれば、商品・サービス説明の中でヒアリングをする方もいるでしょう。
大前提として、初対面の営業マン相手に自社や自分の抱える課題を簡単には話してくれないことを理解しましょう。
当たり前のことですが、意外と理解できていない人も多く、信頼関係を築けていないうちから聞きたいことをストレートにヒアリングしている営業マンも少なくありません。
ヒアリングで得た情報に対して、営業マンが話したいことを1~10話している姿もよく見かけます。提案は、顧客のためのものであり、ヒアリングで得た顧客の求めていることに対してのみ行うようにしましょう。
このことを意識すると営業におけるヒアリングの流れは、下記のようになるはずです。
- 挨拶をする
- 雑談をとおして警戒心を解き、顧客との信頼関係を築く
- 雑談から自然な流れで現状のヒアリングを行う
- 課題について簡単に触れ、無理のない範囲でヒアリングを行う
- 課題に対して、自分が役に立てることを伝える
- 顧客の感触(興味・関心)を確かめる
- 課題に対して有効な商品・サービスの説明を行う
- テストクロージングを行い、顧客の感触を再度確かめる
- 問題なければクロージングを行う
注意していただきたいことは、自社商品・サービスの説明をすることが目的となってしまうことです。
あくまでも営業の目的は、顧客の課題解決です。顧客の課題解決のために、顧客の抱える課題をヒアリングし、適切な商品・サービスを提案し、契約していただくことが目的となります。
自社の商品・サービスが優れているからといって、顧客の抱える課題をこえて「こういったことも出来ます」「こんな課題はないですか?この課題も解決できます」と一人よがりな営業はしないようにしましょう。
売れる営業マンが実践しているヒアリングのコツ5選
売れている営業マンは、誰も知らないとっておきのヒアリング・営業トークを駆使しているかというとそうではありません。
売れる営業マンと売れない営業マンの違いは、実はほんのちょっとしたことなんです。
ただし、その小さな違いが商談中にひとつまたひとつと積み重なって契約の取れる・取れないが決まります。
つまり、売れる営業マンが実践しているヒアリングのコツを知ることで、あなたも同じような成果を上げることができるようになるのです。
ここでは、売れる営業マンが実践しているヒアリングのコツを5つ紹介します。
- “話すこと”よりも”聞くこと”を優先する
- 業界でよくある課題やキーワードを投げかける
- BANT情報をおさえる
- 営業パンフレットに記載された順番ではなく、顧客が知りたいであろう順に話す
- 実際の導入事例、利用者の声を交えてヒアリングする
1つずつ見ていきましょう。
“話すこと”よりも”聞くこと”を優先する
先に記載のとおり、顧客の課題あっての営業です。
数字ほしさに課題のない顧客に対して無理やり商品・サービスを売り込むやり方は長続きしません。
まずは、顧客の抱える課題について背景をはじめとして、最終的にどのような状態になりたいのか、課題と願望をセットで確認しましょう。
そのためには、ヒアリングの流れで説明した通り、雑談を通して顧客の営業マンに対する警戒心を解き、抱える課題や願望を話してくれるよう信頼関係を築く必要があります。
では、信頼関係を築き、顧客の抱える課題をヒアリングするには具体的にどうすれば良いのかを次に説明します。
業界でよくある課題やキーワードを投げかける
いきなり、顧客に対して「貴社の抱える課題は何ですか?」と尋ねてもなかなか答えてはくれないでしょう。
であれば、顧客が抱えているであろう課題を予測し、先回りして顧客にキーワードを投げかける必要があります。
「御社の業界ですと最近●●で悩まれている企業様が多いですが、御社もやはり同様ですか?」
このように質問することで、「そうなんだよ。うちも●●で悩んでて~」や「いや、うちは●●については大丈夫なんだけど、××がちょっとね」と顧客から自然と課題について話してくれます。
さらには、「この営業マン、業界のことをよく知っているな!」「弊社のことをきちんと調べてきているな」と営業マンの評価にもつながり、契約に大きく近づきます。
そのためには、情報収集や商談ストーリーの練り上げなど事前準備がとても重要になってきますので、準備の時間を多く取るようにしましょう。
BANT条件をおさえる
BANT条件とは、営業において必ずヒアリングすべき下記の項目の頭文字を取った言葉です。
【BANT条件】 Budget:商品の購入・サービス導入のための予算 Authority:稟議を承認する決裁者 Needs:企業としてのニーズ Timeframe:導入時期。
顧客は、抱えている課題に対してどれほどの予算をかけることができて、誰が意思決定を行い、必要性はどれほどあるのか、またいつまでに解決したいのか…これらの情報次第で、提案内容や商談の進め方も変わってきます。
このBANT条件を知っているか否かで、契約の成約率も大きく変わってくるため、営業の序盤に知りたいところです。
営業パンフレットに記載された順番ではなく、顧客が知りたいであろう順に話す
一見、ヒアリングのコツではなく、話し方のコツでは?と思った方もいるでしょう。
顧客の知りたいことについて話すことが最も重要ではありますが、その知りたいことをヒアリングの仕方によっては、誘導することが可能です。
せっかく、顧客が抱える課題を話してくれたのに、自社商品・サービスでは解決できない…自社が得意としている強みの課題ではなかった…と困った経験はないでしょうか。
挙句の果てには、顧客が望んでいないにも関わらず、挽回をしようと自社商品・サービスの強みをペラペラと話し、顧客を置いてけぼりにしている営業マンを見かけます。
こうならないためにも、事前準備の段階で自社商品・サービスの強みを活かすために、先回りして質問を用意しておくのです。
顧客が”自分たちから聞き、営業マンが役に立つ情報を教えてくれた”と思わせることで、押し売り感を無くし、納得感が増すため、成約に大きく近づくことができます。
実際の導入事例、利用者の声を交えてヒアリングする
ヒアリングのコツ5つ目は、実際の導入事例や利用者の声を交えて話すことです。
「実際にA社では、導入して以前よりも20%問い合わせが増えました」と話すことで、顧客から下記のような質問をしてきてくれます。
・問い合わせの質は、以前と比べてどうなのか?
・導入してどれぐらいの期間で効果が表れるのか?
・具体的にどういう流れで導入するのか?
導入事例や利用者の声というのは、実際に自分が利用者から直接聞いたわけではありませんが、安心感につながり、営業マンからの質問も説得力があるように聞こえるのです。
どの企業にも当てはまる課題を例として導入事例を伝えるだけでも、顧客からすると「同じ悩みを抱えているところは契約しているのか…」と意識してくれるはずです。
ヒアリング力を高めるためには?
営業マンのなかには、「ヒアリングがうまくできない」「顧客から課題をなかなか引き出せない」「会話が続かず、すぐ自社商品・サービスの説明に入ってしまう」と悩みをよく聞きます。
ヒアリングとは「何を聞くか」「どのように聞くか」 の2つしかありませんので、対策は簡単です。
ヒアリングに悩む人は、あらかじめ何を聞くべきか、どのように聞いて商談を組み立てていくべきかを考えられていないことが多いのです。
では、具体的にヒアリング力を高めるためにどうすれば良いのか。以下3つの方法を実践してください。
- トップ営業マンの商談に同席する
- 提案につなげるための質問を複数用意しておく
- ロープレ(ロールプレイング)を行う
トップ営業マンの商談に同席する
顧客に対して何を聞くか、どのように聞くかは知識が全くない状態ではイメージが難しいものです。
であれば、売れているトップ営業マンの商談に同席し、質問の内容をメモしましょう。
そして、商談後に「なぜ、この場面であの質問をしたのか?」と聞くことで、質問の意図やその後の提案へのつなげ方を理解することができます。
提案につなげるための質問を複数用意しておく
事前準備の時間をきちんと取り、提案につなげるための質問を何パターンか用意しておくことで、顧客の反応にあわせてヒアリングを進めることができます。
さらには、商談の回数を重ねることで、質問の幅も広がり、この質問をすればこう返ってくるというのが分かるようになります。
その後は、二の手三の手を用意しておくことで、自身をもってヒアリングから提案につなげられるようになります。
ロープレ(ロールプレイング)を行う
売れている営業マンの商談に同席し、自分自身でも質問を複数用意したら、上司や先輩に顧客役を演じてもらい、日々の営業と同じ設定でヒアリングを行ってみましょう。
練習もせず、いきなり本番でやってみることももちろん良いですが、貴重な商談の場を1つ無駄にしてしまうかもしれません。
ロープレが終わった後には「良かった点」「改善すべき点」をフィードバックしてもらうことで、大きく成長できることでしょう。
頭で考えているだけでは一向にヒアリング力は上達しません。
実際に質問してみると、想定とは違う回答が返ってくることもあるため、ロープレを通して予め練習をしておきましょう。
まとめ
営業マンにとってヒアリング力は、契約の成約率を上げるための最も重要なスキルとなります。。
営業が話したいことを話すのではなく、顧客の抱える課題にピンポイントで提案するためにヒアリングはとても重要なのです。
商品・サービスについて記載されたパンフレットを説明するだけであれば、営業マンは必要ありません。まずは、このことを理解しましょう。
ヒアリングに特別なスキルは必要なく、”顧客の課題を解決する”といった大前提のもと、自社商品・サービスの強みを活かせる質問をあらかじめ準備しておくことがポイントです。
ヒアリングを通して、顧客の抱える課題を見つけ、願望を叶えるための最適解を提示することで、成約率が大幅にあがるはずです。
いきなりすべてをこなすことは難しいので、1つずつできることから始めましょう!!