「1on1ミーティング」の目的とは?1on1が求められる背景から導入メリット、導入企業(3社)を紹介

1on1面談

シリコンバレー発祥の「1on1ミーティング」は、上司と部下とのコミュニケーション機会を増やし、業務以外のことも含めて幅広くお互いに会話をすることで信頼関係を構築できる方法として知られています。

1on1ミーティングの導入には、部下の成長や、離職率の低下、チームとしてのパフォーマンスの向上、など多くのメリットがあります。

1on1ミーティングは、近年さらに注目を集めており、大企業の中には、実際に1on1ミーティングを導入する企業も増えてきています。

今回は、近年注目を集めている「1on1ミーティング」について、以下3点について紹介します。

  • 一般的に実施されている「人事面談」との違い
  • 1on1ミーティングの目的や進め方
  • 実際に導入している企業

目次

1on1ミーティングとは?

1on1ミーティングとは、その名の通り、上司と部下が1対1で行うミーティングのことです。

1週間に1度や1月に1度などの短期間に、定期的に実施することが一般的です。

1回あたりの時間は15~30分程度とすることが多く、内容は業務に関することに限らない点が、人事面談との違いとなります。

この1on1ミーティングはシリコンバレー発祥のマネジメント手法として知られ、数々のメリットが確認されてきていることから、国内でも大企業が導入する事例が増えており注目を集めています。

1on1ミーティングの目的

1対1で話す女性2人

1on1ミーティングの一番のポイントは、人事面談とは目的が異なるということです。

通常の人事面談では、上司から部下へ一方的に評価や指摘、目標の伝達などが行われることが一般的です。

一方で、1on1ミーティングは、部下と上司の双方向のコミュニケーションを重視する対話型のミーティング形式をとり、基本的には部下が主役となります。

上司は部下の話に耳を傾け、部下は上司に自分の考えを伝えるところから、1on1ミーティングは始まるのです。

このミーティングを通じて、上司はこれまで日頃聞くことの無かった部下の考えや、目指すキャリアプランなどを知ることができます。

そうすることで、部下の成長を助ける働きかけを行ったり、業務上のフォローを実施したりできるようになるのです。

これこそが1on1ミーティングの目的であり、部下の成長や育成、チームマネジメントへの活用、互いの信頼関係の構築、などの面で多くのメリットが得られます。

1on1ミーティングが求められる背景

現代社会においては、多様化する働き方改革のために、上司と部下の間のコミュニケーションは不足しがちな傾向にあります。

若者の飲み会離れが進み、以前のように飲み会の席で腹を割って話が出来るという場面も減ってきています。

今では、多くの企業で導入されている在宅勤務や時短勤務、フレックスタイム制などにより、会社で共有する時間自体が少なくなっていることもあります。

そのため、上司と部下の信頼関係は以前に比べ希薄になりやすく、上司にとっては部下の業務内容が把握しづらく、部下にとっては上司からの評価基準や理由等が不透明と感じることに繋がりやすいと言えます。

このような希薄な信頼関係、納得感の低い評価制度の下では人材の流出が進み、離職率の増加にもつながる恐れがあります。

そのような背景もあり、将来に向けて優秀な人材を確保したい企業が、積極的に導入に向けて動き始めています。

1on1ミーティングを導入するメリット

1on1ミーティングを導入するメリットは多くの面でありますが、ここでは「部下」「上司」「組織」の切り口で各種メリットをご紹介します。

部下にとってのメリット

定期的な面談において業務での失敗や成功の体験を上司と共有することから1on1ミーティングが始まります。

1on1ミーティングを通して、自分なりの気付きを得たり、上司からのフィードバックを得ることで自身の成長のきっかけになることが部下にとってのメリットと言えます。

また、自身のキャリアアップに向けて、主観的な実力や適正の把握だけではなく、客観的な視点からの意見や指導を受けることで、より効率よくキャリア実現へと近づくでしょう。

さらに、上司との信頼関係を構築できれば日々の仕事のモチベーションアップにもつながり、その職場で働くことへのストレスや不安の軽減にもつながります。

上司にとってのメリット

1on1ミーティングは、上司にとっては、部下の日頃の様子を部下自身の言葉で聞くことのできる貴重な機会となります。

また、部下がどのように考え日頃の業務に向かっているのか、成功や失敗をした際には、その要因は何だったのかなどを把握することができます。

的確な指導を行えるため、部下の育成の効率アップにもつながる点は大きなメリットです。

そのほか、日頃なかなか知り得ない部下の性格や生活、健康などの情報を共有・把握することも可能です。

このメリットは、チームとしてのフォローを検討できるようになり、結果としてチームとしてのパフォーマンス向上や部下との信頼関係向上も図ることができます。

組織にとってのメリット

上司と部下の信頼関係が強固なものとなり、優秀な人材の離職率を下げることができる点は、組織とって大きなメリットと言えるでしょう。

また、部下の育成やキャリアアップの効率化など、社員のこれまで以上にスピード感のある成長を実現することで、組織としてのパワーを高めることにもつながります。

近年は情報のスピードが増し、業務の課題は以前にも増して複雑・不明確になってきています。

そのほかにも種々の要因が絡んだ結果、ますます未来予測の難しい、いわゆるVUCAの時代に突入してきているとも言われます。

状況が目まぐるしく変わる日々において、長期スパンでの面談や意見交換では、対処できない場面も多々あります。

1on1ミーティングであれば、短期間での面談において情報交換や意見交換を行うことができ、迅速に対処可能な場合があります。

また、1on1ミーティングを通して、部下の自ら考える力が育てば、目まぐるしく変わる状況に対しても自ら考え迅速に行動に移すことが期待されます。

このように、総合的に見て、1on1ミーティングでは組織力を大きく向上できるというメリットがあるのです。

また、1on1ミーティングで自ら考える力の育った部下であれば、目まぐるしく変わる状況に対しても自ら考え迅速に行動に移すことが期待されます。

つまり、1on1ミーティングには、組織力を大きく向上させるメリットがあるのです。

1on1ミーティングの進め方

1on1ミーティングを進める上でのポイントは目的の共有と準備・復習の徹底です。

1on1ミーティングの目的を共有する

1on1ミーティングの主役は部下であり、その目的は部下の育成や信頼関係の構築です。

そのため、上司だけが一方的に張り切って空回りしてしまっては本末転倒です。

1on1ミーティングの目的を事前にしっかりと伝え、上司と部下がお互いに理解した上で面談を行う必要があります。

1on1ミーティングの準備・復習を徹底する

面談を終えてみると単なる雑談で終わってしまっていた…

こうならないように上司は事前に部下と話す内容について共有し、準備をしておくことが大切です。

また、1on1ミーティングのメモを上司・部下でしっかりと共有し、お互いの認識に齟齬がないことを確認しましょう。

メモの内容は、ミーティングの後にも定期的に確認し、部下へのフィードバックやフォローの際の資料として活用します。

1on1ミーティング導入企業

ビルの写真

実際に1on1ミーティングを導入している企業を3社ご紹介します。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は1on1ミーティングを導入している国内企業として有名です。

国内で1on1ミーティングが注目されるきっかけとなった企業としても知られています。

1on1ミーティングが広く知られる前だったため、当時は下記の2つを目的として導入したようです。

  • 上司と部下のコミュニケーション不足解消
  • 部下の才能と情熱を解き放つ

結果として、部下の育成やモチベーションの向上などなど多くのメリットを実感できており、導入に成功したと言える企業の代表格となっています。

はじめは「時間がない」と消極的な社員が多かったようですが、ガイドラインの作成や必要なスキルの研修実施、意識改革なども推進し、現在では社員7,000人のうち約9割が隔週1回以上、30分程度の1on1ミーティングを継続できているそうです。

グリー株式会社

グリー株式会社では、1on1ミーティングを「目標と現状とのギャップに関して上長と共に認識する場」として活用しています。

1on1ミーティングの内容に対して、上長などからのアドバイス、同僚や部下からの評価をまとめた「マルチフィードバック」の実施を行っています。

マルチフィードバックを通して、自身の働き方や考え方を見直すきっかけを作り出し、1on1ミーティング導入に成功しています。

楽天株式会社

楽天株式会社でも1on1ミーティングを2017年から全社的に導入し、毎週/隔週で10分程度のミーティングを実施しています。

導入にあたり、まずはじめに役員レベルへの1on1ミーティング研修を実施したそうです。

これにより1on1ミーティングの効果を役員自身が実感し、その後の社内導入もスムーズに進んだという経緯があるようです。

楽天株式会社のホームページでは、各方面で活躍する社員自身の言葉で、1on1ミーティングがいかに能力向上やモチベーションアップ、キャリアプランの形成へと役立ったかが語られており、説得力もかなり強く感じられます。

まとめ

今回は、1on1ミーティングについて目的から導入背景、メリット、進め方、導入企業(3社)を紹介してきました。

なぜ今1on1ミーティングが求められるのか?

この理由は、現代の日本社会が慢性的なコミュニケーション不足に陥っているからと言って過言ではありません。

また、優秀な人材を手放さないためにも、社員のモチベーションアップやスキルアップ、キャリア形成のアドバイスなど育成面でのメリットは重要視されており、1on1ミーティングを導入に至る企業が増えているようです。

もし今、社内のコミュニケーション不足を感じる場面があるのであれば、今回紹介したように多くのメリットが得られる1on1ミーティング導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

組織として実施しなくても、チーム単位で行うこともできます。

費用も発生せず、たったの30分から始められるので、導入しやすいのではないでしょうか。

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