VUCAという言葉について、最近よく耳にするようになりました。
現代は、VUCA時代とも言われていますが、この”VUCA”という言葉、説明できますでしょうか。
「VUCAについてなんとなくは理解しているけれど、説明しろと言われるとちょっと…」という方も多いのではないでしょうか。
- 初めてVUCAという言葉を聞いた方
- VUCAについて理解をより深めたい方
- VUCA時代において具体的に何をすれば良いのか知りたい!
今回は、こんな方に向けて用語を分かりやすく説明していきます。
目次
VUCAとは?
まず、「VUCAとは?」という疑問に答えていきましょう。
VUCAとは、4つの単語の頭文字を取った言葉で、目まぐるしく環境・状態が変化し、将来の予測が困難になっている時代を表しています。
- Volatility:変動性(変化の性質、量、スピード、大きさが予測不能のパターンをもつこと)
- Uncertainty:不確実性(問題や出来事の予測がつかないこと)
- Complexity:複雑性(多数の理解困難な原因、抑制因子が絡み合っていること)
- Ambiguity:曖昧性(出来事の因果関係がまったく不明瞭で前例もないこと)
VUCAを構成する単語の意味を知ると、VUCAのイメージがつきやすいかもしれません。
VUCA時代において必要なことは、変化に対応する柔軟さや臨機応変さを持ち、答えのない将来に対して考えること、日々成長していくことです。
VUCAを構成する単語について、1つ1つ詳しく見ていきましょう。
Volatility:変動性
Volatilityは、これからどのような変化が起こるか予測ができない、変化の激しい状態を表しています。
これは、スマートフォンやSNSなどのIT技術の急激な発展によって引き起こされます。
この急激な変化に対応すべく、新しい社会の仕組みが次々と作られています。
Volatilityに対応するには、企業における商品開発やマーケティング手法を見直す必要があります。
Uncertainty:不確実性
Uncertaintyは、不確定なことが多く、この先の環境の変化を見通しづらい状態のことを表します。
仕事面でのキャリアパスが描けない…
人生設計をどうしたら良いか分からない…
と悩む方も多いと思います。
実際に、新型コロナウィルスがここまで私たちの生活を変えるとは思ってもいなかったでしょう。
新型コロナウィルスの流行に伴い、マスクでの外出が当たり前となり、テレワークが導入され、会議や打ち合わせはZoomを用いるようになりました。
Complexity:複雑性
Complexityは、問題が複雑になり、単純に解決策を見つけることが難しい状態を表します。
グローバル化が進み、様々な国の文化や習慣が流入し、私たちの考え方も変化してきました。
そんな複雑化した現代では、解決策を見つけることは容易ではありません。
個人単位でもそうですが、組織単位でも今までの枠組みを超えたアイデアを産む必要があります。
Ambiguity:曖昧性
Ambiguityは、絶対的な解決方法が見つからない曖昧な状態を表します。
これは、他の要素であるVolatility、Uncertainty、Complexityによって引き起こされます。
明確な解決方法がないからこそ、これまでの決まりに縛られない柔軟な発想、対応が大切です。
VUCAの歴史
VUCAとは、もともと米軍で使われていた軍事用語で冷戦後の複雑な国際情勢を説明する言葉として用いられていました。
しかし、2010年代になってからは、ビジネスシーンでも使われるようになります。
2014年には、世界最大の人材開発・組織開発の非営利組織ASTDが行う年1回の最大イベントASTD国際大会においてVUCAという言葉が取り上げられ、一躍注目されるようになりました。
(出典元:2014年ASTD国際大会レポートより世界の人材開発の潮流を読み解く-リクルートマネジメントソリューションズ)
2016年には、世界経済フォーラムのダボス会議によって「VUCAワールド」という言葉が登場し、 現在は「VUCAの時代だ」などと言われるようになり、大分浸透してきたように思います。
VUCAの背景
VUCA時代となぜ言われるようになったのか…
ここでは、VUCAの背景について考えていきます。
VUCAの背景1:グローバル化
今や世界中でグローバル化の動きが活発化しています。
国境を越えて、人や物の行き来が盛んになっているからです。
例えば中国の”Tik Tok”やアメリカの”Instagram”をはじめとして、様々なサービスがあっという間に日本でも広がりました。
日本の代表企業だったSHARPが台湾に買収されるなど予想だにしていなかったことが身の回りで起き、VUCAの要因の1つとなっています。
VUCAの背景2:ITの急成長
近年では、AIやVRなどの最新テクノロジーが急成長しています。
新しい技術が次々と開発されて、ドローンやロボットなどの発展が目覚ましいのは言うまでもありません。
AIが発展することにより10年、20年で私たちの仕事が半減するとも言われており、それほどまでに私たちの生活、人生に影響を与えています。
最新技術に関わるニュースは、bouncy(バウンシー)がおすすめです。
VUCAの背景3: イノベーション
今や、量よりも質を求めるイノベーション(技術革新)が重要になってきています。
日本において戦後から高度経済成長期までは、物を大量に作ることで成長をしていました。
しかし、現在では物があふれるようになり、トレンドの移り変わりが著しく早くなっています。
そのため、これまでのやり方をただ踏襲するだけでなく、新たな物や仕組み、サービスを考え続けることが必要です。
これらが、VUCAという目まぐるしく環境・状態が変化し、将来の予測が困難になっている現代を作り上げているのです。
VUCA時代においてリーダーに求められるものとは
ここでは、VUCA時代においてリーダーに求められるものについてまとめています。
その1:ビジョンの設定
VUCAでは、ビジョンの設定が非常に重要になります。
ビジョンを持つことで、急な変化や予想外の出来事が起こっても、目的を達成するために必要な行動を適切に選択することが出来るからです。
VUCA時代において意思決定は重要な役割を果たすため、リーダーには確固たるビジョンが求められます。
その2:新しいことを学ぶ姿勢
技術の進歩やグローバル化により環境・状態の変化がとてつもなく早くなっていることは、先の説明のとおりです。
そんな時代において、これまでの経験や知識に頼っていては、対応できないことが発生することがあります。
何か壁にぶつかったとしても、常に新しいことを学ぶ姿勢があれば、得た経験や知識から対応することや応用して乗り越えることが出来るかもしれません。
いま世界で何が行われているのか、どういった動きがあるのかニュースや新しいテクノロジーについて学んでみましょう。
その3:仲間の動機付け
今までは、上司が部下に指導や教育を行っていましたが、VUCAでは対等な関係が求められます。
上司や部下、それぞれが考えた意見を否定せず、お互いに尊重することで個々人のモチベ―ションを高めることが期待できます。
モチベーションを高めることができれば、仕事のパフォーマンスも上がり、生産性向上につながります。
その4:決断力と行動力
リーダーには、難しい判断や行動が求められます。
不確実で曖昧な答えのない現代において、思い切って決断する力と、それを実行に移す行動力は必須と言えるでしょう。
そして、それを実現するためには、自分1人だけなく、周りの仲間の協力が必要になります。
理想は、メンバーの1人1人がリーダーシップを発揮し、物事を進めていくできることが大切です。
VUCA時代に求められるスキル
次に、VUCA時代に必要なスキルについて見ていきます。
必須スキル1:スピード
VUCA時代においては、意思決定の早さや迅速な対応が求められます。
計画や行動に時間をかけていると、大事なビジネスチャンスを逃してしまう可能性が大きくなるためです。
最新のテクノロジーや経営手法、専門家が書いた本などを日々チェックし、情報が常に最新となるようアップデートしましょう。
知識が増えると行動の選択肢も増え、急な変化にも対応できるようになります。
必須スキル2:臨機応変さ
仕事をしていると、計画通りに物事が進まないことがあると思います。
想定されるリスクやトラブルを事前に把握しておき、いざというときの対策を考えておくと良いでしょう。
また、物事は計画通りに進まないものと認識しておくことで、状況にあわせて対応する力が身につきます。
必須スキル3:多様性を受け入れる
VUCAでは、多様性を受け入れるコミュニケーションが必要となります。
組織には、様々な価値観を持った人が集まります。
会社は、その最たる例で、様々な価値観を持ったメンバーが一緒に仕事をするため、当然トラブルが発生します。
一切トラブルのない会社は存在しないでしょう。
最近では、テレワークや副業の推進、子連れ出勤など働き方改革を進めている会社も多いのではないでしょうか。
相手の立場に立ったコミュニケーションを心掛け、メンバーに対する理解を深めましょう。
必須スキル4:問題解決能力
絶対的な答えがない中で、最適な答えを導き出す、もしくは試行錯誤のうえ問題解決を目指す能力が必要になります。
問題の解決方法は、なかなか見つかりません。
常識も時代が変われば、常識ではなくなります。
問題の本質を見極めて分析する力や、将来起こる変化の対策を考える力が必要です。
必須スキル5:組織外の人との交流
普段、会社のメンバーと行動することが多いのではないでしょうか。
または、学生時代の友人との付き合いや転職前のメンバーと頻繁に会っている方もいると思います。
組織外の人との交流は、思考の柔軟性を養うことが出来ます。
同業界で働く人であれば、意見交換ができますし、畑違いの業界で働く人でもあなたの仕事で活かせる知識が得られるかもしれません。
また、知識だけでなく仕事への向き合い方や考え方も見直す良いきっかけになるでしょう。
OODAループ(ウーダループ)
OODAループとは、アメリカのジョンボイド氏が考えた、VUCAに向いている思考法です。
※OODAはウーダと読みます。
OODAループの思考法は、変化に対して柔軟に対応することができます。
・Observe(観る)
Observeは、市場や顧客などの外的な環境を観察して、データを観察することです。
・Orient(理解し考える)
Orientは、集めたデータから現状の把握や理解をします。
・Decide(決める)
具体的な方針や行動を決めます。
・Act(実行する)
決まったことを迅速に実行します。
OODAとPDCAの違い
PDCAには計画や検証が必要で、臨機応変さの観点からすると少し弱い点があります。
- Plan(計画する)
- Do(実行する)
- Check(検証する)
- Action(改善する)
PDCA と違ってOODAには「計画」と「検証」がありません。
一方で、OODAループは、刻一刻と変化する状況に合わせて臨機応変に対応を繰り返すため、VUCA時代における思考法として適しています。
OODAループについて別記事にまとめてますので、詳細を知りたい方はそちらもご覧ください。『OODAループをわかりやすく解説。VUCA時代に求められる理由とは。』
まとめ
今回は、馴染み深くなってきたVUCAについて解説しました。
グローバル化やITの急成長、イノベーションにより目まぐるしく環境・状態が変化し、将来の予測が困難になっている現代…
VUCA時代においてリーダーに求められるものは、
- ビジョンの設定
- 成長していく姿勢
- 仲間の動機付け
- 決断力と行動力
VUCAに必要なスキルは、
- スピード
- 臨機応変さ
- 多様性を受け入れる
- 問題解決能力
- 組織外の人との交流
です。
初めてVUCAという言葉を聞いた人の参考になれば幸いです。
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